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高感度な分子イメージング用プローブ技術を開発 |
2009年11月17日
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
東京大学大学院 理学系研究科化学専攻 分析化学研究室
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
東京大学大学院 理学系研究科化学専攻 分析化学研究室
NEDOの産業技術研究助成事業の一環として、東京大学大学院 理学系研究科化学専攻 分析化学研究室小澤岳昌教授は、細胞内シグナルを光情報に変換する低侵襲(注1)分子イメージング(注2)用プローブ技術を開発しました(図1)。この技術は細胞内シグナルを従来手法よりも高感度でリアルタイムに検出できるため、簡便な薬物スクリーニングやマウス個体内の生理機能の可視化などの用途における実用化が期待されます。

| 図1 タンパク質再構成法を利用した生体分子イメージング技術 |
- (注1)低侵襲とは、医療などで従来の大規模な切開を伴う外科手術などによらず、患者の身体への負担が低いこと
- (注2)分子イメージングとは、生物を構成する様々な分子の活動を生きたままの状態で観察する技術
1.背景及び研究概要
生きた動物個体内で機能する生体分子の低侵襲的分子イメージングは、基礎生命科学研究や創薬における次世代技術として大きく期待されています。従来、生体の分子イメージングにおいては、蛍光共鳴エネルギー移動法(FRET)が用いられてきました。しかし、FRETには、シグナル変化が小さく、また一度に観察可能な細胞数が限られるため測定に時間を要するといった課題がありました。そこで、東京大学大学院 理学系研究科化学専攻 分析化学研究室では、発光タンパク質ルシフェラーゼの再構成法という独自の技術を利用し、細胞内シグナルを光情報に変換するプローブを開発しています。ルシフェラーゼを人工的に細工して分子センサーとすることにより、細胞や動物を破壊せずに短時間でシグナルを検出することが可能となりました。同構成法は細胞内シグナルを高感度かつリアルタイムに検出できるため、特定したシグナルを標的とするケミカルスクリーニングを可能にする技術です。これによって、簡便な薬物スクリーニングシステム、さらにマウス個体内の生理機能を可視化する新たな技術を提供します。2. 競合技術への強み
この技術は次のような強みがあります。- 従来法に較べて2倍以上高感度なシグナル検出
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法に較べて、2倍以上の大きなシグナル変化が得られます。 - 高精度
一度に多数の細胞を利用してアッセイできるため、高い精度(107個以上の細胞)でのシグナル検出が可能です。 - 高スループット
多数の細胞を利用可能なことと細胞破砕が不要なことから、スループット能力(96穴プレートを用いて刺激後3時間以内にアッセイ完了)にも優れています。 - 生理機能のリアルタイムな可視化が動物体外から可能
従来の手法では困難であった、生理機能のリアルタイムな可視化が動物体外から行えます。
| 生きた細胞内の検出 | 体外からの検出 | シグナル変化率 | 一度に観察可能な細胞数 | 長時間 連続観察 | |
| 1.環状ルシフェラーゼを利用した手法(今回の技術) | ◎ 細胞を破砕する必要がない | ◎ 標的細胞だけを標識して深部も検出できる | ◎ 10倍以上 | ◎ 107個以上 | ◎ 5時間以上 |
| 2.蛍光性小分子を利用したFRET法(従来技術) | × 細胞を破砕する必要がある | △ 標的細胞だけを標識することが困難 | ○ 約5倍 | △ 10~100個 | ◎ 5時間以上 |
| 3.発光性小分子を利用した手法(従来技術) | × 細胞を破砕する必要がある | × 標的部位を摘出し、破砕する必要がある | △ 2倍弱 | ◎ 107個以上 | × 測定ごとに細胞を破砕する必要がある |
| 4.蛍光タンパク質を利用したFRET法(従来技術) | ◎ 細胞を破砕する必要がない | ○ 体の深部は検出できない | △ 約3倍 | △ 10~100個 | ○ 3時間程度 |
3. 今後の展望
東京大学大学院 理学系研究科化学専攻 分析化学研究室では、以下のテーマや課題に関して、分子イメージング分野における実用化や量産技術に知見・実績を持つ企業や組織とのパートナーシップ(意見交換、技術評価、共同開発)を望みます。- 既存の製品や手法との比較
- 実サンプル提供を通じた意見聴取
- 市場化・製品化および販売戦略
4. 研究者(小澤岳昌教授)の略歴
1993年 東京大学理学部化学科卒業1998年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
1998年 東京大学大学院理学系研究科化学専攻助手
2002年 東京大学大学院理学系研究科化学専攻講師
2005年 自然科学研究機構分子科学研究所助教授
2007年~東京大学大学院理学系研究科化学専攻教授
5. お問い合わせ先
<本プレス発表の内容についての問い合わせ先>東京大学大学院・理学系研究科化学専攻・分析化学研究室 教授 小澤岳昌
TEL 03-5841-4351 FAX 03-5802-2989
研究室HP:小澤研究室
<NEDO制度内容についての一般的な問い合せ先>
NEDO 研究開発推進部 若手研究グラントグループ 岸本、松崎、千田、長崎
TEL 044-520-5174 FAX 044-520-5178
個別事業HP: 産業技術研究助成事業(若手研究グラント)
<その他NEDO事業についての一般的な問合せ先>
NEDO 広報室 坂本、萬木(ゆるぎ)、田窪
TEL 044-520-5151
6. 参考
参考詳細説明資料(PPT)サイト- 詳細説明資料(PPT)についてはNEDOより業務委託しているテクノアソシエーツが運営管理する「技術&事業インキュベーション・フォーラム」の問い合わせフォームからダウンロードすることができます。

