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マグネシウムイオン二次電池の正極材料を開発―電気自動車の性能、飛躍的に向上へ―
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2009年11月24日
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
埼玉県 産業労働部 産業技術総合センター(SAITEC)
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
埼玉県 産業労働部 産業技術総合センター(SAITEC)
NEDOの次世代自動車向け蓄電池開発プロジェクトの一環として、埼玉県産業技術総合センター(通称:サイテック、SAITEC)は資源が豊富なマグネシウムを用いた、繰り返し充放電のできる二次電池(※1)のための正極材料を開発しました。この成果を活用することによってより高性能でかつ低コストな電気自動車などに用いる二次電池の開発が期待されます。
1.背景
地球温暖化問題の軽減において、電気自動車やプラグインハイブリッド車、燃料電池自動車といった次世代クリーンエネルギー自動車の普及は不可欠です。その中でも特に電気自動車は走行中のCO2排出がゼロであること、また電気は様々なエネルギー源から得ることが出来るため石油依存度の低減に寄与するなど、大きく期待されています。しかし、現状の電気自動車においては技術的な課題が山積しています。特に重要な課題として上げられているのが連続走行距離とコストであり、それを解決するキーテクノロジーとして注目されているのがリチウムイオン電池に代表される高性能二次電池です。
リチウムイオン電池は従来の二次電池と比較して圧倒的なエネルギー密度を誇り、それが連続走行距離の伸長に寄与しています。しかし、その主たる原料であるリチウムについては南米など世界でも限られた地域でしか採掘されておらず、その価格および供給量については常に地政学的な不安定性を抱えています。
2.本成果の特徴
- 低コスト化への寄与
このたび、SAITECは資源が豊富であり海水からも精製可能な、マグネシウムを用いた全く新規な二次電池の正極材料を開発しました。ポストリチウムイオン電池の候補として挙げられていたマグネシウム電池において、これまではアイデアレベルでしかなかったところ、このたび世界で初めて安定した充放電を可能にしました。この成果により、電気自動車の低コスト化へ向けた新たな研究開発の指針が得られた事になります。 - 航続距離への寄与
この成果の特徴として二価のイオンを用いた電池系であることが上げられます。通常のリチウムイオンは一価であり、これと比較して容量向上が期待されます。この成果を活用すれば、より長い航続距離を目指した二次電池を開発することが可能となります。 - 技術的詳細
これまでのマグネシウムイオン電池では、充電放電に伴う正極材料の劣化が著しいために二次電池としての利用に難点がありました。
しかし今回SAITECでカーボンフェルト電極とマイクロ波加熱を組み合わせた独自の合成方法(※2)によってイオウを添加した金属酸化物正極材料を開発し、安定して充放電が行えることに成功しました。 さらに、電気容量もリチウムイオン電池用コバルト酸リチウムと比較して同等と見込めることから、今後のマグネシウムイオン電池の実現へ向けて大きく前進しました。
なお、今回開発した正極材料については次の結果を得ており、マグネシウム二次電池としては世界で初めて安定したサイクル特性を得られたと言えます。- 正極容量 200mAh/g
- 維持率 ほぼ100パーセント(5サイクル後)
3. お問い合わせ先
(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)NEDO 燃料電池・水素技術開発部
宍戸、小林(憲)
TEL:044-520-5264
(プレス発表/取材に関する問い合せ先)
NEDO 広報室
坂本、萬木(ゆるぎ)、田窪
TEL 044-520-5151
埼玉県 産業労働部 産業技術総合センター 総務・企画室
直通 048-265-1368 代表 048-265-1312
E-mail:kharada@saitec.pref.saitama.jp
【参考】用語の解説
- 1 マグネシウムイオン二次電池:
正極に酸化物材料等、負極にマグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を用いる。1つのイオンが動くことで2つの電子が移動し、高エネルギー密度化が図れる。 - 2 カーボンフェルト電極を用いた大気圧マイクロ波放電加熱法(CF-AMDH法):
カーボンフェルト間に原料を置いてマイクロ波を照射して放電加熱する。通常の加熱方法と比べると、極めて反応時間が短く(数分程度)、装置も簡易であるため、特異的な性質を有する金属酸化物を短時間で容易に製造できる。

